苗(ミャオ)のいた村
貴州省の東隣、湖南省は湘西土家族苗族自治州、鳳凰村。 むかーしむかーし、貴州へ移り住む前、苗(ミャオ)さん達はここ湖南省に居たのだ。そして今も沢山の湖南苗さん達が生活している。そんな苗さん達の故郷とでもいう地をずーっと見たくて、今回、やっと実現しました!
川を静かに挟む吊脚楼、小さいながらも人々の往来を支えてきた飛石、時々おいたしてお婆さんを川に落っことしたりするらしい。 でも、膝程迄の川が優しくお婆さんを受け止め、周りの皆の笑い声が吊脚楼に響く。 夜になると精霊流しが始まる、とても風情ある小さな古街。
道行く人に『あなたは苗?』って聞くと『苗よっ』って答える。 けれども、皆僕の知ってる苗じゃない。大好きな刺繍もない。。。
近郊の苗村にも行ってみた。ちょうど、市がたっていて、時々、ターバンした苗のお年寄りを見かけた、とても稀に。。 苗族博物館にも行った。 苗の歴史が説明されていた。 苗の格好をした女の子が踊ってた。 『あなたは苗?』って聞くと『苗よっ』って答える。
帰りのTAXIでお母さんと娘さんの親子と乗り合わせた。 『あなた達はミャオ?』って聞くとやっぱり
『ミャオよ』って。
『小さい頃、犬だった』って自慢できる程僕の鼻は効く。 歴史ある古城、そして住んでいるのはほとんど苗。 クンックンッ。 でも、ここにはもう苗の匂いはない。
自らの匂いを消し、漢民族と同化する事で生きて延びてきた彼らは、同時に苗の文化、伝統までをも封印してしまったよう。 幾つもの時代が移り、その伝統の命を吹き返させるには流れた時が長すぎたという事だろうか。。。
人々の心が苗という民族からえらく離れてしまっている様に思える。。。 ここはもう、苗のいた村になってしまった様だ。漢民族に屈せず、貴州へ移り住んでいった僕の知っている苗達、だからこそ彼らは今尚、苗の匂いプンップンッ!させている。
10年前、初めて行った苗の村が貴州省だった事に、改めて苗との縁を深く感じた。