苗族の生み出す芸術品

ミャオの女性は子供の頃から刺繍や織物に慣れ親しみます。
自ら布を織って服を作る。

スカート、上着、帯、前掛け、帽子、靴、ねんねこ(子供をおんぶする時に子供の背中にあて帯でぎゅっとしばるもの。
自分の花嫁衣装まで作ってしまう!)

美しい刺繍をほどこすのは綿生地が多い。
石の上で木槌でたたいて布をテカテカにしたものも使います。

石の上で叩く?
そうすると光沢が出て美しくなるのです。色合いもはえる。
丈夫(藍の成分を布(糸)の奥底・芯まで染み渡らせ叩き込む)で防水効果もある。

この他にも玉子の白身を布にすり込み固めたものや、豚の血を塗り込めたものもあります。
効果は似てますが、色合いは丹念に石で叩いたたたいたものの方が美しい。

 

刺繍糸は絹。刺繍の図柄は蝶、鳥、虫、龍、虎、かえで…、身の回りの自然を抽象化したもの。
なかでも 「蝶」 は彼らの崇拝の的です。
苗族には’蝶が人類とすべての動物の母である’という伝説が残り、今も彼らは蝶を母と呼び崇めます。

一針一針刺された刺繍は気が遠くなるほどに細かい。何年も何年も掛けて作られたものもある。

技術、色彩、図案、全てが一つになって、見事な芸術性を持ちながらも、なんとも温かい感じがする。

 

女性の愛情が造りだした芸術品。

若い女性が身に纏うのは色鮮やかな刺繍を施した服。
年配になると渋い緑や紺の刺繍がほどこされた服。 若い時の鮮やかな刺繍を藍で染め直して着たりもする。

苗族の刺繍、織物、藍染には、彼らの文化と歴史そして何より深く温かい心、優しい気持ちが凝縮されているのです。