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第3回 貴州ツアー 2008,9,11~14

 日本に帰国して早いもので一年。見知らぬ土地、違った環境での暮らしにいっぱいいっぱい。正直、自分達の事だけで精一杯でした。慌しく北京を離れ、また少し遠くなった貴州。禾苗の子供達は、そして学校は・・・?

浜の風にも秋を感じられる様になった9月の11日、総勢14名の参加者が集い、今回で3回目となる貴州ツアーが実現しました。


それぞれの思いを乗せたバスが凱里の町に入ったのは既に闇に包まれた夜の9時過ぎ・・・ムムムっ?ここは何処??何度も通ったはずの道は綺麗に舗装され、整備された町には瀟洒なマンションや目新しい建物が並ぶ。たった一年のこの変貌。。。ぎょぎょっ!!台江のあの風景は守られているのだろうか・・・

そんな不安をかき消す様に梅影村は静かに待っていてくれました。


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現在の禾苗の子供達は全11名。その内4名はこの秋学び舎を巣立ち、凱里にあるそれぞれが目指す専門の学校(看護学校)へと進学、そして2006年大学に進学した劉チョンが我々の訪問に合わせ、古巣の刺繍学校へと戻って来てくれました。しかし、1人、榴英の姿が見えない。今回の受験に際し、1人だけ希望の学校に不合格だった榴英。別の学校に受かりはしているものの、第一希望に失敗した事に1人恥、そして実家の経済事情を鑑みての事だろう、出稼ぎに出てしまったと。・・ 榴英の里親の皆さんは既に彼女の進学後も支援を継続してくれるとの合意を頂いていたのに。。。

心優しき紅春、病の母と祖母を憂う春蘭、そしてやんちゃな暁蘭この3人は将来の看護士を目指し進学。大学進学を果たした劉チョン・・・この子達はそれぞれ近い将来、自立出来るであろう道に進んでくれた(進めた)から良かったものの、ふと気が付いた。八年前、刺繍文化の継承、そしてその技で彼女達の自立を目的に始めた刺繍学校。蓋を開けてみれば教育を受けられていない娘達が多くいる事に気づかされ、それならばと同時進行で始めた教育の充実。しかし現実的には子供達の教育にしか力を注げず、いえ、決して教育を軽視するという意味ではありません。もちろんそれは大切な事、現実に多くの里親さんのお力を借り、何人かの娘達をこうして学校へ通わせる事も出来ているし、進学もさせて来た。そうした事への自負もやりがいも感じている。しかし、本来の刺繍の継承で彼女達の自立を助けられたらという目標は・・・?有り難い事に多くの里親さんがいて下さるお陰で経済的支援は今の所有り、月々の子供達とのやり取りも仕事を抱えながらも快く引き受けて下さっている翻訳ボランティアの皆さんがいて下さってこそ成り立っている。でも実際に私1人でやれる事には限界が有る事にこの1年間の日本での生活を経て思い至る。今までの子達はたまたま将来自立出来る職業を選び進んでいるけれども、中学を出て出稼ぎを選ぶ(選ばなければならない)子達は、なんの為に刺繍学校で育てたのか。

刺繍の技で腕で出稼ぎに出ずともこの豊かな環境で家族と共に生き、生活の糧を得られる様にするのが我々刺繍学校の役割ではないかと。。。手探りで始めた刺繍学校八年目、又新たな展開・転機の時が来ている様です。

今回の刺繍学校滞在も1日足らず。いつもながらタイトなスケジュールです。子供達と昼食を共にし、思い思いに時間を過ごします。川で遊んだり、お散歩に出掛けたり。禾苗の皆はそれぞれに成長し、子供で甘えん坊だった子もすっかり大人に。シャイな所は全く変わってないけど、皆元気で安心させられます。

川遊び
川遊び

元気な禾苗の子供達

夜は刺繍学校のある梅影村の女衆が我々の為に踊りを披露してくれ、輪に加わります。

踊りの輪
踊りの輪

里親さんも!

日を改めた13日は子供達も連れていざっ西江へ! 普段乗り慣れない車に少し疲れ気味だったね。すまんすまん。

西江にて
西江にて

木陰で一休み

 

 

 

今回の旅は色んな意味で意義深い旅となりました。ご参加頂いた里親の皆様、いつも助けてくれているボランティアの皆さん。本当に有難う。皆が元気に笑顔で帰路に付けた事にも改めて感謝します。

photo:muro/sakuma/sato