苗への道は遠くて険しい?
それは刺繍学校の開校式に立ち会い帰京した春の事でした。「子供達と一緒に苗刺繍を習いたい!!
せめてその技法だけでも、どうやっているのか知りたい~!!!」っと鼻息荒く、北京出稼ぎ組に頼み込み、訓えを請うていた時期がありました。
師匠の名は馮天秀(フォンティエンシュウー)。
この方、実は韓国政府から招かれて苗刺繍の展示・実演会に参加したつわものなのでありました。(刺繍学校の管理を
お願いしている苗の友人、馮金国(フォンジンゴウ)の叔母様でもあります)
「本来外国人には教えられないの・・・」っと言いながらも快く引き受けて下さったありがたーい師匠なのです。
週に1度、自宅に来て頂いていたのですが、これが結構目を引く光景。ここ北京では治安の問題から、外国人が住める居住
というのがある程度決まっておりまして、雅瑞家も外国人マンションに住んでおる次第。
週に1度民族衣装(フル装備ではありませんでしたが・・・)で現れる師匠はマンションでもかなりのインパクトで有りました。
恐いもの知らずで、破線繍(ポーシェンシュウ)!だの、双針繍(シュワンジェン)シュウ)!だの高度なものばかり教えてくれ
とせがむド素人の私に実に根気強く教えて下さった事よ。ァーありがたやありがた。
刺繍の技法については「苗族の刺繍」のページをご覧頂くとして、出来上がったものはといえば、言われてみればそれらし
もの・・・っという程度。(ちなみにこれは編帯繍(ビェンダイシュウ)と皺繍(ジョウシュウ)です。
やはりあの緻密さ・きめの細かさ・素晴らしいバランス感覚はちょっとやそっとのつけやきばではとうてい真似出来るものではない!と改めて確信!!更に言えば何年もの時代を経て来た苗刺繍の時間が作り出した、得も言われぬ味わいと人の氣が宿った温もり。
これは作れるものではありませんでした。かくしてこの夢の様な講習会は師匠の帰郷というお話で途絶えてしまいましたが、(私のドン臭さにさじを投げ・・・いやっ、お孫さん誕生というめでたい理由でした)今でもその時のワクワク感・師匠への感謝・苗への尊敬の念は続いています。