2年目を迎え見えてきたもの
皆で迎えた2度目の春である。11名で走り出した禾苗刺繍学校。途中、生徒のめでたい嫁入りや、数名の入れ替わりを経験し、現在、生徒は6名。
1年前、強張った表情で、はにかんだ笑顔でいた子供達は、この1年で、いったいどんな顔になっただろう。何を感じ、何を見、何を身に付けただろうか。
そしてこれから、我々がするべき事は・・・。
5月、明るい陽がさす台江へ、彼女たちに逢いに行った。
禾苗刺繍学校の生徒達(2002,5現在 6名)
劉 春花(16歳) | 劉 躍蘭(15歳) | 劉 学蘭(18歳) |
劉 躍嫦(14歳) | 劉 新成(16歳) | 劉 両(15歳) |
あー、残っていてくれたんだねー。幾人かの懐かしい顔に再び逢えた。シャイな瞳はあの時のまま。でも明らかに成長した彼女達が迎えてくれた。
先生方
劉 永英 | 張 三妹 | ※劉 昌 |
※(劉 昌先生は、田舎から出て来て、子供達と一諸に、寮生活を送ってくれています。)
今回の目的は、子供達の成長・学校の現状把握と、これからを考える事。
現在、賛同して下さっている皆様のお力をお借りし、小さいながらも運営を続けてきた禾苗刺繍学校。
さて、現地に入って考えさせられた。
自習の時間も沢山の刺繍を無心に刺す子供達。 自分の食費を削ってまで、実家に仕送りをしている子供達・・・。我々の訪問に無け無しのおこずかいをはたき花束を送ってくれた子供達。 『みんなの夢は何?』に、『勉強すること。刺繍する事』と、声を揃える子供達。その気持ちに応える為に我々がなすべき事は…
子供達の勉強する生活環境の改善と刺繍学校に入りたがっている沢山の子供達を少しでも多く迎え入れる事。
でも僕らが出来る事には限りがある。6人の子供達が集まるだけで精一杯。
子供達の期待に応える為には、お力を貸して下さるという方々のネットワークをもっと広げる必要がある。 多くの賛同者が与えてくれる大きな力が・・・
皆さんの力を集め、限界という枠を払拭したい。 例えばフォスターペアレントのような形態?
1人の子供が食の心配をせず、着るものを着て、安らかな寝床を確保し、学ぶ事そして”作る喜び”を感じる事が出来る環境、この基本的な生活は、1ヶ月日本円に換算すると5,000円で充分。 1人の子供を1人、もしくは数人のサポーターで支える。そして子供達は1ヶ月に1度、自分で刺した刺繍を送る。こんな方法はどうなのだろうか?
また、身一つで田舎から出てきた彼女らは着替えさえ持っていない。 着なくなったお洋服は有りませんか? 使っていない鍋でも茶碗でも良いんですっ!!集めて彼女らに送ればどれだけ喜んでくれるか、そして必ず活かされます。 どこのボランティアでもやっている事だけど、彼女達はホントに喜ぶのです。
それに彼女らは苗の美しい歌・飛歌も学んでいます。披露出来る場があればもっと張り合いが・・・そう! 例えば台江を訪れた観光客を学校に招き、夕食の材料代を頂く程度で「苗の民族料理が味わえ」(子供達にとっては、貴重な御馳走日になる!)、その場で「飛歌」の披露を。またまた刺繍体験学習が出来たり、子供達の作品や古い刺繍を購入して頂いたり、(これ、観光化しようというのではなく、あくまでも発表の場を作るという意味あいです。)等等・・・
皆さんに呼び掛けをするには、これから様々な整備が必要です。 2年目を迎え子供達と接し、話をし、目の当たりにした状況、感じ取ったのはこの様な事です。
追伸。 ここに、雅が帰りの飛行機で書き留めたメモを結びとして・・・
物乞いをする苗族、ゴミをあさる苗族を始めて見た。
時代の変化についてゆけず、取り残された老いた苗達。
若者達は街へ出て行き、生きる術を知らない老いたミ苗達は路頭に迷うしか無いのか。
いや、他の人には真似のできない素晴らしい刺繍の技を持った彼等は寄せる時代の波に戸惑っているのだ。
これは自然の摂理などでは無い。誰かが導いてあげれば、彼等は苗の伝統を後世に繋いでくれ、地球にとって、とても素晴らしいものを残してくれる。
だって彼等こそが生きる世界遺産なのだから。
そうだ! 僕らの刺繍学校に彼等を招こう。学校へ行けない子供と、取り残されたお年寄りが集う。
子供はお年寄りから刺繍を教わり、お年寄りは子供達から生きがいをもらう。そして苗の伝統は受け継がれ、お年寄りは安心して静かに息を引き取る。
これが僕らの学校だ。健康に恵まれた僕らができる、今まで僕らを育ててくれた多くの人々への御恩返しに。
God bless you!
禾苗刺繍学校の一日